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続・情報社会のアイドルコンプレックス

今までの人生の全てを伏線として回収できるように頑張ってるブログ

にがり・□

三代目 重蔵 豆富

 

 

 

俺がこの店に入った理由は、店の名前が同じだったから。俺の名前は角田重蔵。

 

私がこの店のアルバイトに受かったのは多分、豆腐屋の孫、つまり、3代目だって話したから。実際に少しは豆腐のことだって知ってるし。

 

 

 

俺はあれから重蔵に通うようになった。いつしかあの店員の女の子に、会うのが楽しみになっていた。好きになっていた。

 

私は少しづつバイトに慣れていった。常連のお客さんの顔も少しづつ覚えてきた。

 

 

話してみたいな。でも、狭い店内で気まずいし、どうすればいいんだろ。

 

 

「あの!」

 

 

「1時間後にまた来て」

 

彼女は言った。静かに、ゆっくりと。

1時間後に何があるのだろう?彼女のシフトが終わる頃なのか?そんな、いやまさか、でも、

 

 

 

 

そのまま何も買わずに1度家に帰った。

近所だから家に着いてからもまだ、ほぼ1時間待たなきゃいけない。俺は前回もらったチラシをぼんやりと読むふりをして眺めていた。

 

一時間後、彼女のいる店に戻った。俺を見つけるなり、ぱっと笑顔になった彼女に、鼓動が聴こえないか心配になった。

 

「いつも来てくださるから」

彼女は

値引きシールの貼られた、俺がいつも買う生豆腐を差し出した。

 

値引きの時間だった。その為に1時間後に…少しがっかりしたが、彼女の親切心だ、それにいつも来て下さるからって、認知してくれてるではないか。

 

 「名前、なんて言うんですか?」

「絹江」