続・情報社会のアイドルコンプレックス

今までの人生の全てを伏線として回収できるように頑張ってるブログ

臆病

片足を突っ込んだまま気絶しているらしい。

 

久々に本の世界に逃避したけど、それどころじゃない気がして赤い合皮のブックカバーを閉じた。

勝手にふるえてろ

 

いつからか、人生にはハッキリさせない方がいい事も、時にはあるのかもしれないと思ってしまうタイプになってしまった私は、ぼんやりした頭で反芻する。

 

「あの人の中には確実にあなたはいるよ。」

 

 時間は止められない。そわそわしながらその時を迎えた。

 

なんてこった、ゾンビみたいだ。一瞬目が合ったその顔は、唇の色もおかしく覇気がなく見えた。心なしか鼻声にも聞こえる。どうやって今日をやり過ごそう。

 

 

 

 

 

 

もう思い出せなかった、どうやっていたのか、この自分がこの目の前に居る人とどうやって関わっていたのかが、思い出せなかった。私の足は無意識に死角に行き、手は無意識に掃除をする。無意識だからめちゃくちゃで荒が目立つ。それでもやめられない。

 

自分で感じているよりも私は酷い状況に陥っているらしい。恋愛にうつつを抜かすなんて阿呆、と教わってきた気がしていたけど、もうこの歳だと逆にさっさと決めなきゃいけないらしい。相変わらず私は人間として生きていく自信がないし、謎ルールにうんざりする。

触りたいのに、匂いを嗅ぎたいのに、それは叶わない。同じ気持ちなのに。同じ?同じってなんだ?

 

「異動するのか…」

勘違いした彼が、ややしんみりした口調でそう呟いた時息が止まった。あの時もっと慎重に立ち回れればもう少し素直な気持ちを通い合わせることが出来たのかもしれない。

 

 

もう二度と名前を呼んでくれないかもしれない、もう二度とふざけ合えないかも知れない、そう思った私は一人震えて泣きながら起きたのに。時差があった。無駄な安堵を挟んで現実が遅れて襲いかかって来た。